国家解体戦争のときに
彼の声を一度だけ聞いたことがある
決して印象的なものではなかったが
なぜか今も耳に残っている
無機質な声だが、その奥には確固たる信念を感じたのだ。
ちょうど、彼女のように。
企業と国家との戦争は、長期化し、悪戯に資源や人を消費していった。
その余波はコロニー住民にまで及び、国家の統治下にあるコロニー住人は
生活の圧迫を余儀なくされた。
しかし戦いは拮抗しているわけではなかった。
企業側の軍事力は、国家のそれを遥かに凌いでいた。
その中核を担っていたのが「Next」である。
企業は、たった10機のNextで戦場での勝利を欲しいままにしていた。
その実験場でもある戦場、軍事企業の戦争での経済効果、より有利な条件での
停戦条約を獲得するために、いわば生殺し状態にしていたのだ。
そんなくだらない戦争でも、「独裁国家からの人民の解放」なんていう大義名分を
掲げれば、家族のために・・などと思う人間もいるだろうし
傭兵ならば、戦わない理由はない。
私は、そんな信念のないうらぶれた傭兵の一人だった。
もともとMA乗りだった私は、各地の紛争への企業介入の駒として使われ
生き延びるたび、企業からの信頼を得ていった。
やがてAC乗りとして戦場を転々とし、その小さな戦場は国家解体戦争へと拡大していった。
守るべきものを持たない・戦う理由を他人にあずけたまま戦う
大抵の傭兵がそうだった中
彼は違っていた。
木曜日, 3月 06, 0020
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