木曜日, 3月 06, 0020

真紅のNEXTを駆る者

国家解体戦争のときに


彼の声を一度だけ聞いたことがある


決して印象的なものではなかったが


なぜか今も耳に残っている


無機質な声だが、その奥には確固たる信念を感じたのだ。


ちょうど、彼女のように。




企業と国家との戦争は、長期化し、悪戯に資源や人を消費していった。


その余波はコロニー住民にまで及び、国家の統治下にあるコロニー住人は


生活の圧迫を余儀なくされた。




しかし戦いは拮抗しているわけではなかった。


企業側の軍事力は、国家のそれを遥かに凌いでいた。


その中核を担っていたのが「Next」である。


企業は、たった10機のNextで戦場での勝利を欲しいままにしていた。


その実験場でもある戦場、軍事企業の戦争での経済効果、より有利な条件での


停戦条約を獲得するために、いわば生殺し状態にしていたのだ。




そんなくだらない戦争でも、「独裁国家からの人民の解放」なんていう大義名分を


掲げれば、家族のために・・などと思う人間もいるだろうし


傭兵ならば、戦わない理由はない。


私は、そんな信念のないうらぶれた傭兵の一人だった。




もともとMA乗りだった私は、各地の紛争への企業介入の駒として使われ


生き延びるたび、企業からの信頼を得ていった。


やがてAC乗りとして戦場を転々とし、その小さな戦場は国家解体戦争へと拡大していった。





守るべきものを持たない・戦う理由を他人にあずけたまま戦う

大抵の傭兵がそうだった中

彼は違っていた。

0 件のコメント: